【ゲーム論】MMORPGと+の概念

中学生の頃、ませていた僕は、修学旅行に合わせて新しい腕時計を買おうと思った。いろいろな広告を見比べて、金ぴかで重厚なデザインの腕時計が50%off1万円で売られているのをみつけた。普段の僕は貧乏性で、財布の紐が固いのだけど、この時だけは、あまりのお得感に、思わず飛びついてしまった。

いざ修学旅行へ行くと、似たような腕時計を他のクラスのませた生徒がつけているのを見かけた。その瞬間、僕はそういう商法に引っかかったのではないかと疑心暗鬼に陥った。少し前にグルーポンなんかが流行ったけど、安売りと聞いて興味をそそられない人は本当にリッチな人だけだと思う。

今回のテーマの+の概念とは、一言で言えば、いかにお得感を感じさせるかということだ。なんにでも重要な概念だけど、MMORPGにもこの+の概念というのはとても重要だったりする。


不評を買った疲労度システム

かなり古い話だが、以前FF14に疲労度というシステムが存在していた。これは、戦闘をして経験値を取得すると、疲労度がたまっていき、それに応じて取得できる経験値が減っていくといったもので、疲労度は時間経過によってリセットされる。

似たようなシステムに、エバークエスト2のバイタリティというものがある。こちらは時間経過でポイントがたまっていき、ポイントが残っている間は経験値を多く取得できるといったもの。ポイントは経験値の取得で消費される。

どっちのシステムも、廃人と時間の無い社会人との差を縮めることのできる重要な要素なのだけど、前者の疲労度システムはかなりのひんしゅくを買うことになった。

二つのシステムの違いを簡単に説明すると、疲労度システムが減点形式で損した気分に、バイタリティシステムは加点方式で得した気分になるということだろう。よく日本は減点方式でアメリカは加点方式といった話があるけれど、まさにその構図がそのまま出てしまった感じだ。

その後、疲労度システムは廃止され、現在のレストボーナスが実装された。こちらはバイタリティシステムとほとんど同じなんだけど、宿屋でログアウトすると時間経過でポイントがたまる。リアリティがあるし、+の概念から見てもとてもいいシステムだと思う。

廃人との差を縮めるシステムというのは価値観の共有が重要なMMORPGにとって、とても重要な要素だ。


+の概念のデメリット

+の概念で気を付けなければいけないのが、ミスのフォローには使いにくいということだ。例えば、バランス調整を行う際に、+の概念にのっとると、ナーフではなくバフによる調整を行うことになる。すると、調整すればするほどインフレを引き起こすことになってしまう。

NERF_BUFF.png
この画像で言うところの真ん中のやつがそれにあたると思う。

こうならないためには、そもそも失敗しないことが重要であり、+の概念は前もって計算して利用する必要がでてくる。例えば、デイリーボーナスや、毎週絶やさずにイベントを開いているゲームなんかは、それを前提にバランス調整しなければならない。最終的に、デイリーボーナスだけを目的にゲームにインするという経験をした人も結構いると思う。

現実なんかだと、あまりにもあからさまなものは二重価格表示で景品表示法違反になるけど、ゲームシステムでは、この点を気にする人はほとんどいない。そもそも現実と違って実際に損するわけでは無いのだから、ここら辺は製作者のセンス次第なんだと思う。

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